コラム

「日々挑戦・日々感動」第3回 私の「やってよかったこと」               ~坂田道信氏に教えられた『複写ハガキ』~   

 

人は誰でも、自分の行ってきた行動を振り返って、このことはとても役立ち、「やってよかった」と思えることや、また「こんなこともやればよかった」といった反省等が一つや二つはあると思う。
私が「やって良かった」と実感していることの一つは『複写はがき』を長年続けてきたことである。
私の育った家庭環境には手紙を書く習慣がなかった。就職して東京に出てからも、ハガキや手紙を書くことは殆ど無く、また書かなければならないときは非常に苦痛であった。そんな私にハガキを書くことの価値や楽しさを教えてくれたのが、坂田道信氏である。

 

坂田氏は「ハガキ道」を提唱し『複写ハガキ』を全国に広めた方である。
昭和62年、雑誌「致知」の講演会で、私は初めて坂田道信氏の話を聴いた。31歳のとき、教育学者、森信三先生の講演に感銘を受け、教えられて『複写ハガキ』を始めたという。最初の頃は、ほとんどが平仮名の下手な字で、床屋に行けば床屋さんに、病院に行けば病院に、お礼のハガキを書いたという。劣等生だった坂田氏が『複写ハガキ』を始めたことで人生が拓けていった「ハガキ道人生」に共感し、強い感銘を受けた。

 

昭和62年1月20日、私は初めて1枚目の『複写ハガキ』を書いた。
『複写ハガキ』はカーボン紙を間に挟んでハガキを書く方式で、控えが手元に残るのである。控えの冊子には罫線が入っているので書きやすく、1冊で50枚のハガキが書ける。書いた控えが1枚1枚と増えてゆくのは楽しいものである。そして2冊3冊と溜まってくると、もっと増やしたいという意欲が湧いてくる。

 

『複写ハガキ』を続けてよかったことは、何と言っても、ハガキを書くのが苦にならないばかりか、私の楽しみの一つになったことである。また「書く」ことが好きになったことで、気付いたことがある。それは社会で活躍している人たちは、コミュニケーションの手段である「話す」「聞く」「読む」「書く」ことを、それぞれとても大事にしているということである。

 

現に、私も会員であり、弊社の庄司ヤス子が代表を務めている「複写はがき一日一信の会」には、現在28名の人が在籍しているが、「書く」のが得意なだけでなく、殆どの人が「話し方」も勉強し、皆さん読書好きである。人間どこからスタートしても、向上心があれば、大事なことに気付いて学んでいくのだと思った。

 

最近、用件の多くはメールで済ませることが多くなった。しかし、頂いたハガキを前に、一枚一枚に思いを込めながらハガキを書くひと時は、心の静まる充実した贅沢な時間で、メールでは味わえないものだと思っている。

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