シーサイドラインで ― 気をつけて行ってきてください。―
朝の時間、シーサイドラインは若い人たちでいっぱいでした。今日は何かあるのかしらと友人と二人で乗り込んだのですが、座れる所はありません。両側の車両も若い人たちで埋まっています。何かあるのかしらねと友人と話していると、二人の若い男性が「どうぞ」と合図をしてくれました。車内は華やいだ感じがします。隣の若い女性は大きな模造紙をたたんで持っていました。「今日は何かあるんですか」 「はい、小学校で発表会があります。私はフィリッピンの説明をします」
模造紙にマジックペンで書いてあるひらがなとカタカナが透けて見えました。言葉遣いも正確で、語彙も豊かなようです。話を聞くと、今年6月に来日したとのこと、思わず片手で6,7,8,9,10と指を折りながら5か月?と聞きましたら、そうですと言います。感心して、「日本語も上手だし、カタカナも書けるのね」と言うと、「漢字も書けます」とにこっとしました。またまた驚いて、思わず、優秀なのねと言うと、ハイとうれしそうです。続けて、最優秀なのねと言うと、また、ハイとうなずいたので、二人で口を開けて笑いました。楽しくなりました。
次の駅に来ると、彼女たちは立ち上がったので、彼女と周りの人に頑張ってねと声をかけました。たった3,4分の間でしたが、楽しいひとときを頂きました。
彼女が私たちに最後に残した言葉は「気をつけて行ってください」です。一語一語はっきり発音した言葉には、特別に心がこもっているように感じられ、感動しました。私も家族を送り出すとき、人を見送るとき、「気をつけてね」と言葉を添えますが、心がこもっていたかしらと、日ごろから何気なく使っている言葉を見直そうと思いました。どうもありがとうございました。